屋根修理詐欺の代表的な手口、勧誘トークと信頼できる業者の選び方

訪問販売で屋根修理の提案を受けている方は詐欺に注意が必要です。法外な金額を請求されたり、適切な工事を受けられなかったりする恐れがあります。

ここでは、屋根修理詐欺の代表的な手口、勧誘トーク、詐欺に遭ったときの対処法、信頼できる業者の選び方などを解説しています。屋根修理を安心して行いたい方は参考にしてください。

屋根修理詐欺の代表的な手口

屋根修理をはじめとするリフォーム工事のトラブルが増加しています。PIO-NET(全国消費者生活情報ネットワークシステム)に登録された相談件数の推移は以下の通りです。

年度2021年度2022年度2023年度
訪問販売9,756件10,099件11,861件
点検商法7,435件8,165件12,510件

2024年度も前年度に比べ相談件数が増加しています。詐欺の手口を理解して、対策を講じることが重要です。ここでは、屋根修理詐欺の代表的な手口を紹介します。

出典:独立行政法人国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法

突然の訪問で屋根の不具合を指摘

屋根修理詐欺の代表的な手口として「点検商法」があげられます。点検商法は、アポイントなしでターゲット宅を訪問して、言葉巧みに点検を実施してから不安をあおり、工事の契約を促す商法です。

例えば「瓦がずれているから点検させてほしい」と訪問して、点検後に「放っておくと雨漏りして建物が駄目になってしまう」と不安をあおり、強引に契約を結ぶなどが考えられます。

PIO-NET(全国消費者生活情報ネットワークシステム)に登録されている屋根工事の点検商法に関する相談件数は右肩上がりで増加しています。

年度2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度
相談件数923件1,157件1,824件2,352件2,885件

特に注意が必要な屋根修理詐欺の手口といえるでしょう。

出典:独立行政法人国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-

「火災保険で無料修理が可能」と勧誘する

「火災保険を使って無料で修理ができる」などといって契約を勧めてくる場合も、屋根修理詐欺に注意が必要です。保険金の支払いを受けられず、自費で屋根修理を行わなければならないことがあります。火災保険の対象は、原則として以下の条件を満たす場合です。

【補償の条件】

  • 台風、大雪などの自然災害や物体の飛来、落下などの偶発的な事故で生じた屋根の損害
  • これらに対応する補償が付帯している

「補償の条件」からわかる通り、経年劣化による屋根の損害には、火災保険を使用できません。業者の中には、嘘の請求で保険金をだまし取ろうとするところがあります。そそのかされて嘘の請求をすると、被保険者も不利益を被る恐れがあります。

具体的には、保険契約を解除されたり、詐欺罪に問われたりすることが考えられます。屋根修理詐欺の口車に乗らないようにしましょう。

高額な値引きキャンペーンを強調してくる

高額な値引きを提示して、即決を促してくる場合も屋根修理詐欺に注意が必要です。値引きの理由として、期間限定のキャンペーンが考えられます。一見するとお得なように思えますが、値引き分を含めた見積金額を提示しているケースが少なくありません。

値引きした金額が、相場を上回っていることもあります。高額な値引き、期間限定キャンペーンなど、魅力的に言葉に踊らされないことが大切です。当然ですが、屋根修理には人件費や材料費などがかかります。

誠実に営業している業者であれば、200万円の見積金額が100万円になるようなことはありません。値引き額が大きい場合は、最初の見積金額が高すぎる恐れがあります。

業者を装って定期点検を提案し修理を勧める

大手業者などを装い定期点検を実施してから修理を勧めるケースもあります。例えば「○○(大手ハウスメーカーの名前)から来ました。この地域を対象に、無料で屋根の定期点検を実施しています」などの勧誘トークが考えられます。

業者名を聞いて、信頼してしまう方が少なくありません。全く関係のない業者が大手業者名を語ったり、大手業者と提携しているように見せかけたりしていることがあるため、注意が必要です。

誤認して点検を受けると、屋根修理詐欺に巻き込まれてしまう恐れがあります。予定にない点検が来たときは、名刺を受け取って業者名を確認するなどの対策を講じましょう。

無料点検を謳い屋根に上がって故意に損傷させる

詐欺業者の中には、無料点検で屋根を故意に損傷させるところがあります。損傷個所の写真を見せて、ターゲットの不安をあおり、契約を迫るためです。写真を見せられると、ほとんどの方が早く修理したいと考えてしまいます。早期に「トラブル」を発見した詐欺業者に感謝する方もいるでしょう。

典型的なマッチポンプ商法ですが、被害者がからくりに気づくことは難しいと考えられます。屋根の状態を把握している方が少ないためです。巻き込まれると、回避が難しい詐欺の手口といえるかもしれません。

屋根修理の詐欺業者が使う勧誘トーク

詐欺業者は、さまざまな勧誘トークで近づいてきます。屋根修理詐欺で用いられている代表的な勧誘トークを紹介します。

「近所で工事中にお宅の屋根の不具合に気づいた」

点検商法の入り口として、以下の勧誘トークなどが用いられています。

【勧誘トークの例】

  • 「近所で工事中にお宅の屋根の不具合に気づいた」
  • 「親方に屋根の不具合を教えてこいといわれた」
  • 「営業でこちらの地域を回っていたところ屋根の不具合に気づいた」

勧誘トークの主な目的は、ターゲットの不安をあおって、点検の許可を得ることです。信憑性を高めるため、後から親方役がやってくることもあります。指摘を受けると不安になってしまいますが、遠方や地上から屋根の不具合を発見することは難しいでしょう。これらの勧誘トークを、安易に信じないことが大切です。

「このままだと瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」

点検実施後に用いられることが多い勧誘トークは以下の通りです。

【勧誘トークの例】

  • 「このままだと瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」
  • 「屋根の不具合を放っておくと雨漏りで住宅が傷んでしまう」

勧誘トークの主な目的は、ターゲットを不安にして、契約を促すことです。故意に損傷させた箇所の写真を用いて、不安をあおってくることもあります。「専門家」から具体的な説明を受けると、不安を感じる方が多いでしょう。詐欺の可能性があるため、勧誘トークを鵜呑みにせず、落ち着いて対処することが大切です。

「保険金を利用して無料で修理できる」

点検商法の締めくくりで用いられることが多い勧誘トークは次の通りです。

【勧誘トークの例】

  • 「保険金を利用して無料で修理できる」

勧誘トークの目的は、金銭の負担感を減らして、契約を促すことです。保険を使えるのであれば、屋根を修理しようと考える方が多いでしょう。ただし、実際に保険を使える保証はありません。自然災害(台風、大雪など)による損害など、補償には条件があるためです。保険金を利用したい場合は、保険会社に相談してから契約を締結しましょう。

【必見】屋根修理詐欺に遭わないための対策

ここからは、屋根修理詐欺の対策を紹介します。

突然の訪問者を安易に屋根に上らせない

多くの場合、屋根修理詐欺は業者の訪問と屋根の点検からスタートします。点検を受けると、詐欺業者のペースで話が進んでしまうため、屋根に上らせないことが大切です。突然、訪問してきた業者の話は、疑うほうがよいでしょう。ちなみに、訪問販売業者は、勧誘の前に以下の点を明らかにしなければなりません。

【勧誘前に明示する情報】

  • 事業者の氏名(名称)
  • 契約の締結について勧誘をする目的であること
  • 販売しようとする商品(権利、役務)の種類

出典:特定商取引法ガイド「訪問販売

本来の目的を隠して、契約の勧誘を行うと特定商取引法に違反します。つまり、点検目的で住宅を訪れて、本来の目的(契約の獲得)を隠したまま、契約の勧誘を行うことはできません。詐欺業者は、上記の点を守っていないことが多いと考えられています。

屋根修理業者が、突然訪れてきた場合は、これらの点を明示するか確認するとよいでしょう。

即決せずに複数の業者から見積もりを取る

詐欺業者は、その場で契約を締結するため、さまざまな条件を提示してきます。例えば「今日、契約すれば大幅な値引きができる」などが考えられるでしょう。

条件付きで好条件を提示する目的は、ターゲットを焦らせることです。今すぐ決断しないと損をすると考えて、契約してしまう方が少なくありません。焦る気持ちは理解できますが、契約内容を精査するため、即決しないことが大切です。

時間がほしいと伝えても即決をしつこく促してくる業者は、詐欺業者の可能性が高いと考えられます。契約を見送るほうが無難です。

複数の業者から見積もりをとると、見積金額の妥当性や屋根の状態を客観的な視点で評価できます。

契約前に詳細な説明と書面を確認する

契約を締結する前に、詳細な説明を求めることも大切です。具体的な取り組みとして、修理箇所の写真を提示してもらうなどが考えられます。

ポイントは、屋根全体の写真と修理箇所の拡大写真を提示してもらうことです。写真を提示できない業者は、嘘の点検結果を報告している可能性があります。

また、写真の真偽にも注意が必要です。別の住宅で撮影した写真を、流用していることがあります。修理を依頼する場合は、口頭で契約を結ばないようにしましょう。説明と異なる手抜き工事をされても嘘を証明できません。

契約内容を書面で残しておくと「いった、いわない」を防げます。

工事代金は工事完了後に支払う

工事代金を支払うタイミングも注意したいポイントです。通常は、工事完了後に支払います(あるいは分割払い)。詐欺業者の中には、何かしらの理由をつけて、工事代金の前払いを求めてくるところがあります。求めに応じると「後ほどスケジュールを報告します」などといって、連絡をとれなくなることがあるため注意が必要です。

工事代金は、工事完了後に支払うようにしましょう。契約書に支払時期を明記しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

【詐欺防止】信頼できる屋根修理業者の選び方

続いて、信頼できる屋根修理業者の選び方を解説します。

過去の施工事例や口コミを確認する

一般的に、実績が豊富な屋根修理業者は信頼性が高いと考えられています。多くの方が満足していないと、実績を積み重ねられないためです。公式サイトなどで、屋根修理業者の実績を確かめてから依頼しましょう。

併せて、インターネット上に投稿されている口コミも確認しておく必要があります。自社にとって都合のよい情報だけを公式サイトに掲載している恐れがあるためです。口コミを確認すれば、実際に利用した方の感想がわかります。したがって、不誠実な屋根修理業者を見極めやすくなります。

損害保険への加入状況を確認する

損害保険に加入している業者を選ぶと、屋根修理の工事を安心して任せられます。工事中の事故で建物などに損害が生じたときに、補償を受けられる可能性があるためです。屋根修理業者は細心の注意を払って工事をしますが、それでも偶発的な事故を完全に防げるわけではありません。万が一に備えている業者を選ぶことが大切です。

損害保険の有無は、問い合わせで確認できます。補償の範囲まで確かめておくと、安心して依頼できる業者を見つけやすくなります。

アフターフォローや保証内容を確認する

アフターフォローや保証内容も、契約前に確認しておきたいポイントです。実績が豊富な屋根修理業者に依頼しても、施工ミスなどのトラブルを完全になくすことはできません。信頼性の高い業者は、以上の点を踏まえて、アフターフォローを充実させています。

例えば、期間を限定して、無償で修理を受けられるなどが考えられます。

具体的な取り組みは屋根修理業者で異なるため、契約前に詳細を確かめておくことが大切です。

屋根修理詐欺に遭った場合の対処法

気をつけていても、屋根修理詐欺に遭うことがあります。ここからは、屋根修理詐欺に遭ったときの対処法を解説します。

クーリングオフ制度の活用

屋根修理詐欺に遭った場合は、クーリングオフを活用して、契約を解除できる可能性があります。クーリングオフは、以下のように定義されています。

いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。

出典:独立行政法人国民生活センター「クーリング・オフ

訪問販売に対してクーリングオフを適用できる期間は、申込書または契約書面のどちらか早いほうを受け取った日から数えて8日間です。この間に、書面(内容証明郵便など)または電磁的記録(メールなど)で契約解除を通知します。屋根修理業者が作成した契約書面に不備がある場合など、業者がクーリングオフを妨害した場合は、申請できる期間が延長されます。

消費生活センターや警察へ相談

クーリングオフについて相談したい場合や専門家に相談したい場合は、最寄りの消費生活センターを活用するとよいでしょう。消費生活センターは、消費生活に関する苦情、問い合わせを相談員が受け付けて、公正な立場で処理をする機関です。返金請求などを依頼することはできませんが、一般的なアドバイスを受けられます。

出典:独立行政法人国民生活センター「全国の消費生活センター等

屋根修理詐欺で不安を感じた場合は、警察に相談することもできます。屋根修理に関するトラブルが増加しているため、警視庁なども注意を呼びかけています。困っている方は、気軽に相談するとよいでしょう。

出典:警視庁「点検商法

弁護士など専門家へ相談

屋根修理詐欺について、弁護士に相談することもできます。弁護士に相談するメリットは、クーリングオフ、契約解除、返金などの可能性を探れることです。また、各手続きの代行を依頼することもできます。ただし、依頼すると一定の報酬が発生します。まずは、無料相談を活用して、情報を集めるとよいかもしれません。

【まとめ】屋根修理詐欺に注意!安全な業者を選ぼう

ここでは、屋根修理詐欺の手口や対策について解説しました。屋根修理詐欺の多くは、業者の突然の訪問と屋根の点検から始まります。言葉巧みに迫られても、屋根を点検させないことが大切です。屋根修理詐欺に遭った場合は、クーリングオフ制度の活用や消費生活センターなどへの相談を検討するとよいでしょう。

信頼できる屋根修理業者をお探しの方は、大手リフォーム会社の下請けとして実績を積み重ねてきた「屋根のエイト」にご相談ください。万が一に備えて、損害賠償保険に加入するとともに、最大10年の施工保証をお付けしています(保証内容は条件で異なる場合があります)。屋根修理でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

監修者

  • 名前:山下 夏樹

    役職:施工管理部

    資格:福祉住環境コーディネーター3級 クレーン運転士 玉掛け フルハーネス特別教育

    経歴:

    高校卒業後、建設業の太陽光パネル設置・ゼネコンの雑工などを経て2013年に株式会社福原工業へ入社。
    主に積水ハウスリフォームの屋根工事を担当し、職長として多数の物件を施工し経験を積む。
    その後、2020年屋根のエイトに入社。
    大手で培った技術力を生かし、お客様に安心して長く暮らしていける屋根工事を提供できるよう心掛けている。

屋根修理の費用相場|修理内容別の相場と費用に影響を与える要素

屋根修理にかかる費用の相場を知りたいと考えていませんか。初めての経験で、困っている方は多いでしょう。

ここでは、屋根修理にかかる費用の相場や費用に影響を与える要素を紹介するとともに、見積もりをとる際に意識したいポイント、業者選びのポイントなどを解説しています。以下の情報を参考にすれば、屋根修理の検討を進めやすくなるはずです。費用の相場などが気になる方は、参考にしてください。

屋根修理の費用相場はいくら?

屋根修理にかかる費用は、ケースで大きく異なります。ケースにより、修理の内容、屋根の面積、使用する屋根材のグレードなどが異なるためです。以上を踏まえたうえで、一般的な住宅における費用の相場を紹介すると、5万円~250万円程度とされています。

実際の金額は、これを下回ること、上回ることがあります。正確な金額を把握したい場合は、個別の見積もりをとることが大切です。しかし、1社からとるだけでは相場を把握できません。当該住宅における相場を調べたい場合は、工事の条件を揃えたうえで、複数の業者から見積もりをとって平均額を算出しましょう。

修理内容別の費用内訳

屋根修理の相場は、修理の内容で異なります。ここでは、修理の内容別に費用の相場を紹介します。

部分修理(瓦の差し替え、雨漏り修理)の費用

経年劣化や自然災害などの理由で、瓦の一部が割れたり、欠けたり、剥がれたりした場合は、瓦の差し替えを行います。主な原因として、経年劣化や衝撃があげられます。強風で飛来した物体が屋根にぶつかり、瓦が割れる場合もあります。瓦の差し替えにかかる費用は、使用する瓦の種類や枚数で異なります。費用の相場は5万円~15万円程度です。

雨漏りも、部分的な修理で対応できることがあります。修理の内容と費用の相場は、雨漏りの程度で異なります。天井に染みができる程度であれば、小規模な修理で対応できることが多いでしょう。費用の相場は、20万円~40万円程度です。天井からポタポタと水滴が落ちている場合は、屋根の下地までダメージを受けている可能性があります。費用の相場は、30万円~60万円程度です。雨が降るたびに水滴が落ちてくる場合は、大規模な屋根修理が必要となる可能性があります。費用の相場は、70万円~250万円程度です。

全面修理(屋根全体の葺き替え)の費用

屋根全体が劣化している場合は、屋根の葺き替えを検討する必要があります。葺き替えは、既存の屋根を撤去して、新しい屋根を葺きなおすことです。具体的には、古い屋根材、下地材などを、新しい下地材、屋根材などに交換します。屋根を丸ごと交換するため、劣化が目立つ状況に対応可能です。

しかし、屋根を葺きなおす費用に加え、古い屋根の撤去・処分費用も発生するため、修理代が高額になる場合があります。具体的な費用はケースで異なりますが、70万円~250万円程度かかることが一般的です。部分修理に比べて割高ですが、屋根そのものを新しくできるため、既存の屋根を使い続けるよりもメンテナンス費用を削減できる場合があります。

工法による費用の違い

屋根修理にかかる費用は、工法によっても費用が変わります。主な工法として以下の3つが挙げられます。

工法概要
葺き替え既存の屋根を撤去して、新しい屋根を葺きなおす工法
重ね葺き既存の屋根の上から、新しい屋根を葺く工法
部分修理ダメージが目立つ部分だけ修復する工法

葺き替えは、屋根全体が劣化している場合や下地が傷んでいる場合などに検討します。既存の屋根を撤去・処分するため、重ね葺きよりも費用が高くなる傾向があります。重ね葺きは、屋根がそれほど劣化していない場合に検討します。費用を抑えつつ、屋根全体を修理できる点が魅力です。部分修理は、瓦を交換する、漆喰を補修するなど、傷んだ箇所だけ修復する工法です。費用を最小限に抑えることが可能ですが、屋根の状態次第では適用できない場合もあります。

屋根の種類と修理費用の関係

屋根の種類によっても、修理費用は変動します。使用する屋根材が異なるためです。参考に、主な屋根の種類を紹介します。

屋根の種類特徴
スレート屋根セメントなどを加工した薄い板状の屋根。軽い点と安価で施工できる点が魅力。耐用年数は20年程度。
瓦屋根日本で広く用いられている屋根。陶器瓦、セメント瓦などの種類がある。耐用年数は50年程度。長く使い続けられる点が魅力。費用はスレート屋根より割高。
金属(ガルバリウム鋼板)屋根合金でメッキしたガリバリウム鋼板を用いた屋根。軽量で屋根瓦より安い点が魅力。また、スレート屋根より丈夫。耐用年数は30年程度。

葺き替え工事の相場は、スレート屋根が70万円~180万円、瓦屋根が150万円~250万円、金属(ガルバリウム鋼板)屋根が140万円~200万円程度とされています。

屋根の修理費用に影響を与える要因

屋根の修理費用は、他にもさまざまな要因から影響を受けます。注意したい主な要素は以下の通りです。

屋根の面積や勾配

葺き替え工事の費用は、屋根の面積に面積あたりの単価を乗じて算出します。基本的な計算式は以下の通りです。

・屋根の修理費用=(屋根の面積×単価)+足場代

したがって、屋根の面積によって費用は変動します。単価は、屋根の種類などで異なります。足場代の相場は、15万円~20万円程度です。

屋根の勾配も、費用に影響を与えます。勾配が大きいほど、屋根の面積が増加するためです。また、作業の難易度も高くなります。例えば、傾斜が大きい屋根は、荷物の運搬を簡単に行えません。作業効率が低下する結果、勾配が大きい屋根は修理費用が割高になることが多いです。ただし、影響の程度は修理内容で異なります。部分修理の場合、屋根の面積に影響を受けることは少ないと考えられます。

建物の高さや立地条件

建物の高さも屋根の修理費用に大きく影響します。労働安全衛生規則で以下のように定められているためです。

第518条 事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等
を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそ
れのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければな
らない。

出典:厚生労働省「労働安全衛生規則(抄)

基本的には、ほとんどのケースで足場ならびに足場代が必要です。足場代は以下の計算式で求めます。

足場代=(建物の外周+4m)×高さ

したがって、建物の高さも屋根の修理費用に影響するといえます。

また、建物の立地条件にも注意が必要です特定の条件により作業効率が悪化すると、割高な費用を請求される可能性があります。建物が密集しており、資材を運搬しにくい住宅が例として挙げられます。

劣化の程度や修理の緊急性

劣化の程度も、修理費用に影響を与える要素です。基本的には、状態が良いほど修理費用を抑えられます。大規模な修理を必要としないためです。例えば、瓦の差し替えだけでよければ、5万円程度で行えることがあります。1回あたりの負担額を考えると、屋根のメンテナンスは定期的に行うほうがよいでしょう。

屋根修理の緊急性も、費用に影響を与えることがあります。緊急性が高いと、業者の選択肢が少なくなるうえ、交渉の余地も小さくなるためです。具体的には、時間に余裕がないため、相見積もりをとって金額を比較できません。また、業者の閑散期を選ぶことも難しくなるでしょう。これらの事情で、割高になる場合があります。以上を踏まえると、早めの対応が勧められます。

屋根修理の見積もりを取る際のポイント

続いて、見積もりをとる際に意識したいポイントを解説します。

複数の業者から見積もりを取る

同じ屋根修理であっても、業者により費用は異なります。複数の業者から見積もりをとって比較することが重要です。専門知識がない方は、当該住宅における相場を把握できない可能性があります。上記の作業を行わないと、相場より高い業者に依頼するリスクがあります。一般的に、見積もりをとる業者の数は3社、4社程度が目安といわれています。

見積金額を比較する際は、他社に比べて著しく安い業者に注意しましょう。一定の原価がかかるため、相場から大きく外れるほど費用を抑えることは難しいためです。工事完了後に高額な費用を請求される可能性があります。トラブルを避けるため、安い理由を確認する、依頼を避けるなどの対策が必要です。

見積もり内容をチェックする

見積もり内容もチェックしておきたいポイントとして挙げられます。「工事一式:○○円」などと記載されている見積もりには注意が必要です。詳細がわからないため、内容を評価できません。チェックしたい主な内容として、以下の点があげられます。

【チェックポイント】

  • 屋根材の名称と単価
  • 修理する屋根の面積
  • 足場の必要性と費用

これらを記載している見積書は、信頼性が高いと考えられます。見積金額を算出した根拠が示されているためです。また、屋根材のグレードにも注意が必要です。同じ名称であっても、グレードにより費用や耐用年数などは異なります。気になる点、不明点があれば積極的に質問し、見積書の情報をもとに詳細を確認することが重要です。

追加費用やオプションに注意する

追加費用やオプションも注意したいポイントです。工事後に追加費用を請求されることや一部の工事がオプションになっていることがあります。これらを確認せずに屋根修理を依頼すると、想定より多くの費用がかかってしまいます。見積書をチェックするときは、発生する可能性がある費用を確かめておきましょう。また、雑費、諸費用など、詳細が明らかではない費用の内訳を確認しておくことも大切です。不要な費用が含まれている場合があるためです。内訳を明らかにすることで、修理費用を抑えられる可能性があります。

信頼できる屋根修理業者の選び方

屋根修理業者には、さまざまな選択肢があります。ここでは、信頼できる業者の選び方を解説します。

業者の資格や実績を確認する

屋根修理業者は、保有している資格や実績を確かめてから選びましょう。これらを確認すると、業者の得意分野がわかるためです。屋根修理業者の中には、瓦屋根の修理を得意としているところや金属屋根の修理を得意としているところなどがあります。得意分野が異なれば、提案内容も異なる可能性があります。資格や実績を確かめて、修理したい屋根に適した業者を選ぶことが大切です。

これらの情報は、原則として業者の公式サイトで確認できます。掲載されていない場合は、電話やメールで問い合わせると教えてくれるケースが多いでしょう。特定の事情で資格や実績を提示できない場合は、業者の知識、技術、経験を慎重に評価する必要があります。不安を感じる方は、実績が豊富な業者を選択するほうが良いでしょう。

アフターサービスや保証内容の有無をチェックする

アフターサービスの有無も確認しておく必要があります。実績豊富な業者に依頼しても、施工ミスを完全に防ぐことはできないためです。アフターサービスに注力している業者を選ぶことで、万が一の場合にも対応が可能です。また、このような業者は、技術力に自信をもっていると考えられます。対応しても追加で費用を請求できないケースが多く、対応が増えるほど、業者の負担が大きくなるためです。不具合が少ないことが、このようなサービスを提供できる理由と考えられます。

保証の有無も確認しておきたいポイントです。不具合が起きたときに、自己負担額を抑えて修理を受けられる場合があります。ただし、保証の内容や条件は業者で異なります。保証の有無だけでなく、詳細も確認する必要があります。

口コミ・評判をチェックする

依頼先を決定する前に、当該業者の口コミや評判も確認しておきましょう。公式サイトに掲載されている情報だけでは、わからないことがあるためです。一例として、応対品質があげられます。「丁寧な対応を心がけている」と公式サイトに記載しておきながら、対応が遅い業者、対応がいい加減な業者も存在します。口コミ・評判を確認すると、実際に利用した方の感想がわかるため、このような業者を避けやすくなります。反対に、対応が丁寧な業者を見つけられることもあるでしょう。業者の口コミ・評判は、口コミサイトのほか、Googleマップなどで確認できます。

屋根修理の費用についてよくある質問

続いて、屋根修理に関するよくある質問に回答します。

屋根の修理に助成金は利用できますか?

屋根の修理に、国や自治体が実施している助成金を活用できることがあります。一例として、目黒区が実施している「住宅リフォーム資金助成」があげられます。制度の概要は、以下の通りです。

対象目黒区民が所有する目黒区内の居住用住宅
助成の種類区内業者による自宅の一般リフォーム工事(一般リフォーム工事)など
助成金額工事費用の10%(一般リフォーム工事の上限は10万円)
申請方法必要書類を目黒区の住宅課へ提出

「区内業者による自宅の一般リフォーム工事」の工事内容として、屋外改修工事があげられています。屋根・外壁などの改修工事の対象は、区分所有登記をしていない一戸建て住宅です。以上の他にも、屋根修理に活用できる助成金はあります。お住まいの自治体などで確認するとよいでしょう。

出典:目黒区「住宅リフォーム資金助成

瓦屋根・スレート屋根の修理費用の目安は?

瓦屋根・スレート屋根の修理にかかる費用の目安は工法で異なります。基本的には、スレート屋根のほうが割安です。参考に、葺き替え工事にかかる費用の目安を紹介します。

工法(葺き替え工事)費用の目安
スレート屋根70万円~180万円
瓦屋根150万円~250万円

具体的な費用は、屋根の状態や屋根材のグレード、依頼する業者などで異なります。見積もりをとって確認することが大切です。

【まとめ】屋根修理の費用相場はどのくらい?

ここでは、屋根修理にかかる費用の相場を解説しました。かかる費用は、修理の内容、屋根の面積、使用する屋根材のグレードなどで異なります。また、屋根の種類や工法なども費用に影響を与えます。以上を踏まえたうえで、相場を示すと5万円~250万円程度といえるでしょう。実際にかかる金額を把握したい場合は、業者から見積もりをとることが大切です。

実績豊富で信頼できる業者をお探しの方は、大手リフォーム会社の下請けで経験を積んだ「屋根のエイト」にご相談ください。屋根の状態にあわせて、最適なご提案をさせていただきます。

監修者

  • 名前:山下 夏樹

    役職:施工管理部

    資格:福祉住環境コーディネーター3級 クレーン運転士 玉掛け フルハーネス特別教育

    経歴:

    高校卒業後、建設業の太陽光パネル設置・ゼネコンの雑工などを経て2013年に株式会社福原工業へ入社。
    主に積水ハウスリフォームの屋根工事を担当し、職長として多数の物件を施工し経験を積む。
    その後、2020年屋根のエイトに入社。
    大手で培った技術力を生かし、お客様に安心して長く暮らしていける屋根工事を提供できるよう心掛けている。

屋根修理で助成金を適用するための条件と申請の手順・注意点について

屋根の修理を考えている方に向けて、屋根修理での助成金適用について解説します。

住宅の改修や屋根の修理は高額になる傾向があります。「助成金を利用できるのか」「どのように申請すれば良いのか」と悩む方も少なくありません。屋根修理でも助成金を受け取れる可能性があります。

本記事では、屋根修理で助成金を申請するための条件や申請手順、注意点について解説します。本記事を参考にすることで、助成金を活用し屋根修理の費用負担を大幅に軽減することができるでしょう。

屋根修理に適用可能な助成金の種類

屋根修理で助成金を使う場合、適用可能な助成金には主に2つの種類があります。これから屋根の修理をしたいと考えているなら、次の中から適用されるもの、利用しやすいものを選んでください。

では、屋根修理に適用可能な助成金の種類について解説します。

種類1:国の助成金制度

まず検討したいのは、国によって運営されている助成金制度です。日本での屋根修理に適用できる範囲の広さが魅力です。国の助成金制度で屋根修理を行う場合、次の制度を利用することを検討してください。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

住宅の長寿命化を目指したリフォームを行う場合、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を利用することが可能です。国土交通省により展開されている助成金制度です。対象となるのは耐震リフォームや断熱リフォームなど。しかし同時に屋根修理を行う場合、屋根修理の費用も助成される可能性があります。

補助を受けるには条件があり、まずは次の条件を満たさなければなりません。

【条件[1]】

  • 1階の床面積40平米以上、延床面積55平米以上であること
  • 地区計画、景観計画、まちまみなどの計画、建築協定、景観協定との調和がはかられること
  • 維持保全計画を定めること
  • 住宅性能基準、三世代同居対応改修工事、子育て世帯向け改修工事、防炎性・レジリエンス性向上改修工事に該当すること
  • 住宅性能に係る評価基準に適合していること
  • 工事着手前に現況検査を受けること

助成金制度が適用されるかどうかは、住宅の規模や工事の内容により判断されます。また住宅がある地域で地区計画がある場合は、計画に準じた改修であるかどうかも判断材料のひとつです。

条件を満たす住宅改修であり、同時に屋根修理を行う場合、助成金を利用することが可能です。住宅の長寿命化も検討されているなら、屋根修理と同時に行うのがおすすめです。

次世代省エネ建材の実証支援事業

「次世代省エネ建材の実証支援事業」は、省エネ改修に適用される助成金制度です。屋根はもちろん、壁や窓の改修にも適用されます。展開されているのは次の3つの区分です[2]。

区分補助率補助金上限額
外張り断熱(外断)補助対象経費の1/2以内1~4地域:400万円/戸 5~8地域:300万円/戸
内張り断熱(内断)補助対象経費の1/2以内戸建て:200万円/戸 集合:125万円/戸
窓断熱(窓断)補助体操経費の1/2以内150万円/戸 ※任意製品併用の改修なら200万円/戸

屋根修理で適用可能な補助金は、「外張り断熱(外断)」に限られます。利用するには外壁を外張り断熱にして、同時に屋根・天井のリフォームを行うこと。屋根修理だけでは利用できません。しかし家全体の快適性を高められ、かつ屋根修理でも助成金が利用できるようになるため実施する価値はあるでしょう。

補助上限額は地域により変わり、おおむね次のように分けられています。

【地域分類[3]】

  • 1~4地域:北海道・東北地方、北関東から長野県の山間部、その他地域の山間部
  • 5~8地域:上記以外の地域

市区町村単位で細かく分類されているため、該当する地域を調べてください。もし外壁改修と一緒に屋根修理をするなら、補助上限額も高くぜひ利用したい制度と言えます。

種類2:地方自治体の助成金制度

地方自治体ごとの助成金制度も利用できることがあります。国の助成金制度に該当しなくても、地方自治体の助成金が利用できるかもしれません。たとえば次のような制度が展開されています。

【地方自治体ごとの助成金制度一例】

  • 府中市:府中市木造住宅耐震改修など助成事業
  • 練馬区:カーボンニュートラル化設備設置等補助制度
  • 品川区:住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)
  • 横浜市:横浜市木造住宅耐震改修補助制度
  • 大阪市:民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度
  • 岡山市:移住者、二拠点居住者向け中古住宅リフォーム補助制度
  • 岡山市:木造住宅の耐震改修補助制度
  • 北九州市:北九州市木造住宅省エネ改修工事補助事業

ご紹介した地方自治体以外でも、屋根修理に助成金が使えることはあるはずです。すべての紹介はできませんので、お住いの自治体に問い合わせてみてください。

屋根修理での助成金の適用条件

屋根修理に利用できる助成金制度にはさまざまなものがあります。ただし、いずれの制度にも適用条件が設定されており、条件を満たさなければなりません。

そこで、屋根修理で助成金が適用される基本的な条件について解説します。主に次の3つであることがほとんどです。

省エネ性能向上を目的とした工事

まずは住宅の省エネ性能向上を目的とした工事であることです。国は省エネに力を入れており、住宅で使用するエネルギーを削減するための改修に対して積極的に助成を行っています。

屋根修理とともに省エネ性能向上をはかるなら、次のような改修が考えられるでしょう。

【省エネ改修工事の一例】

  • 太陽光発電パネルを屋根に設置する
  • 天窓を設置する
  • 屋根の断熱性・遮熱性向上のための工事をする
  • LED照明を設置する
  • 屋根のアスベスト除去工事を行う
  • 断熱性の高い塗料を用いる

断熱性を高める工事を行えば、住宅全体の快適さも増します。屋根修理で助成金を活用する場合は、省エネ性能向上のための工事を同時に行うことを検討してください。

耐震性向上を目的とした工事

耐震性向上を目的とした工事であることも適用条件のひとつとなります。築年数が経過している住宅では、旧耐震基準で建てられていることもあるでしょう。そのため新耐震基準に沿った改修は、助成金が適用されやすい条件です。

詳しい適用条件は制度ごとに異なります。新耐震基準が施行された1981年6月1日以前に建てられた2階建て住宅の場合、適用される可能性が高いと考えられます。

各助成金ごとの具体的な条件

屋根修理で助成金を受け取るには、各制度ごとの具体的な条件を満たす必要があります。地方自治体が展開している制度であれば、それぞれそのほかの具体的な条件が設定されていることもあるためです。

一例として具体例をご紹介します。

【岡山市:移住者・二拠点居住者向け中古住宅リフォーム補助制度】

●移住される方、二拠点居住される方 共通

  • 岡山市への転入の理由が、転勤、進学以外の方
  • 岡山市税を滞納していない方
  • 暴力団等の関係者ではない方

●移住される方

  • 令和4年4月1日以降に岡山市に転入された方
  • 転入の直前に、岡山県外に1年以上住民票があった方
  • 実施報告日以降、2年以上補助物件に住む予定がある方

●二拠点居住をされる方

  • 令和4年4月1日以降に岡山市で二拠点居住をされる方(あらかじめ届出が必要です)
  • 二拠点居住を始める直前に、岡山県外に1年以上住民票がある方
  • 岡山市内での拠点で本人名義で水道を常時利用される方
  • 実施報告日以降、2年以上補助物件で二拠点居住をされる予定がある方

出典:岡山市:【補助金】令和6年度の受付を終了しました。(移住者・二拠点居住者向け中古住宅購入・リフォーム補助)

【横浜市:横浜市木造住宅耐震改修補助制度】

<対象となる住宅>
昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工された2階建以下の在来軸組構法の木造個人住宅(自己所有で、自ら居住しているもの)
上記の住宅で、耐震診断の結果、点数(上部構造評点等)が1.0未満と判定された住宅
(中略)
<対象となる工事>
基礎の補強、筋かい(耐力壁)の補強、軽量化のための屋根のふき替え等により、耐震診断による点数が1.0以上となる耐震改修工事
建替え工事は対象となりません。

出典:横浜市:制度概要

以上のように、制度ごとに条件が定められています。

省エネ性能や耐震性能を高める工事では適用されやすい傾向があるでしょう。しかし、そのほかの条件が設定されていることもあるため、利用したい助成制度の条件確認は欠かせません。

屋根修理での助成金申請の手順

それでは、実際に屋根修理で助成金を申請するときのために、申請手順を見ていきましょう。

申請前の確認事項

申請前に確認すべきことは、助成金が適用されるための工事条件です。先に解説をしたように、条件を満たさない工事であれば助成金は受け取れないでしょう。ただし、工事の内容が適切であっても助成金を受け取れない場合があるため、次のポイントを確認することが重要です。

【申請前に確認したい事項】

  • 助成金適用のための工事の条件
  • 申請条件をクリアできる業者
  • 申請できる時期

まず、確認したいのは工事の内容が条件を満たすかどうかです。助成金制度適用の条件は制度や自治体により変わります。条件を満たさずに申請すると却下され、助成金を受け取れないまま屋根修理を行うことになります。そのため申請前には確実に条件を満たせる工事であることを確認してください。

また、工事内容の条件を満たしていた場合でも、時期によって適用されないこともあります。たとえば予算の上限に達したとき、募集が行われていないときなどです。依頼する業者が条件となっていることもあります。地方自治体によって指定された業者に依頼することを忘れないようにしてください。必要に応じて役所に問い合わせ、適用条件を確認してください。

申請の流れ

屋根修理で助成金を受けるためには、次のように申請を行います。

【申請の流れ】

  1. 申請書を入手する
  2. 申請条件をクリアした業者を探す
  3. 相談をして業者を選ぶ
  4. 見積書を入手したら自治体に申請書を提出する
  5. 業者と工事契約を交わす
  6. 契約書をコピーして自治体に提出する
  7. 工事を行う
  8. 業者から工事完了報告書を受け取る
  9. 自治体に工事完了届を提出する
  10. 自治体の調査員による調査を受ける
  11. 約3週間後に補助金が振り込まれる

助成金を受け取るための基本的な流れは、業者に相談をして、自治体に必要な書類を提出するようになります。自治体の申請条件をクリアしている業者であれば、申請の手続きもサポートしてくれるでしょう。申請書の入手は、業者を選定した後でも問題ありません。

自治体に対して必要となるのは、申請書と契約書のコピー、工事完了届の提出だけです。あとは調査員による調査を受けることもあります。流れが複雑に感じられる場合でも、業者からのサポートを受けることで円滑に進められます。

必要書類と注意点

最後に、必要書類と注意点について解説します。

必要書類

助成金を受け取るには、次のような必要書類を準備してください。

【必要書類】

  • 申請書
  • リフォーム計画図
  • 見積書
  • 工事前の現況写真

助成金の申請に必要不可欠であるのが「申請書」です。各自治体の公式サイトからダウンロードしてコピーできるでしょう。必要に応じて役所に問い合わせ、申請書を受け取ることができます。業者の方に申請書の入手について相談する方法もあります。見積書も業者から受け取ったもののコピーを提出すれば問題ありません。

注意したいのはリフォーム計画図と工事前の現況写真です。リフォームでは現況図をもとにして、リフォーム計画図が作成されます。また助成金申請のときに、平面図・立体図・見取り図が必要となることもあるでしょう。工事前には現況写真を撮影しておく必要があります。

注意点

助成金を申請するには、次のような注意点を意識しながら申請を行いましょう。

【注意点】

  • 工事着工前に自治体への申請を行うこと
  • すべての工事をひとつの業者に依頼すること
  • ほかの助成金・補助金制度と併用できない可能性があること

屋根修理で助成金を受けるなら、必ず工事着工前に自治体への申請を行うようにしてください。多くの場合、着工後の申請は受理されません。

また複数の業者を利用すると、ひとつの工事とはみなされなくなってしまいます。工事費用を合算して申請することで、受け取れる助成金の額が増える可能性があります。工事を依頼するなら、予定している工事をすべて請け負える業者を選ぶことにも注意が必要でしょう。

最後に、特定の助成金制度を利用すると、ほかの助成金制度・補助金制度は併用できなくなることを知っておいてください。そのため最も受け取れる金額が多い制度に対して申請をするべきです。本記事で解説した必要書類と注意事項を参考にすることで、助成金の申請をスムーズに進めることができます。

屋根修理に助成金を活用する際の注意点

助成金を活用することで、屋根修理の費用を大幅に抑えることができ、大変役立つと考えられます。しかし助成金を利用する際には注意しなければならないことがあるのも事実。

利用する際には「申請期限」「予算枠」「詐欺」に注意してください。

申請期限や予算枠の確認

申請前に必ず確認しておきたいのが「申請期限」と「予算枠」です。助成金は国や地方自治体の予算から捻出されるもので、予算内で展開されています。そのため予算枠が上限に達してしまっていたり、期限が決められていたりすることも珍しくありません。

申請しようとしたときに、もう締め切られてしまっている可能性もあります。あらかじめ申請期限と予算枠を確認して、まだ猶予があるか確認しておくことは非常に大切です。

補助金を利用した詐欺に注意する

補助金を利用した詐欺に注意することも大切なポイントのひとつです。最近では「補助金・助成金を使えば無料でリフォームできる」と、住宅のリフォームや修理をさせようとする業者もいます。また業者が補助金を不正受給するケースも。

業者の言葉を鵜呑みにしてしまうのは危険です。必ずご自身でどのような制度であるか、本当に金銭的負担が減るのか確認してください。確認したうえで契約を結ばなければ、高額な工事費用を請求される恐れもあります。

関連記事:屋根修理詐欺の代表的な手口、勧誘トークと信頼できる業者の選び方

屋根修理の補助金についてよくある質問

屋根修理で助成金を利用する方法について、さまざまな観点から解説してきました。しかし「○○の場合はどうなるのか」と、まだ疑問を抱いている方がいるかもしれません。

そこで屋根修理で補助金を利用する際に、みなさまがよくいだく質問についてお答えします。疑問点が残っている方は、次のよくある質問への回答も参考にしてください。

質問1:スレート屋根にも補助金は利用できますか?

スレート屋根でも補助金を利用できる可能性があります。たとえば「長期住宅優良化事業」は、スレート屋根も対象です。また耐震性を高めるための工事でも、スレート屋根が対象とされることが少なくありません。スレート屋根をガルバリウム鋼板に変更することで屋根の重量が軽減され、結果として住宅の耐震性が向上する可能性があります。

スレート屋根の修理を検討している方は、適用可能な助成金制度を調べてみてください。

質問2:屋根の修理費用はいくらが相場ですか?

屋根修理の費用相場は60万円以上です。部分的な修理であれば約14,000円で実施可能です。

部分的な修理は費用を抑えることができます。しかし、助成金を利用する場合は工事の下限額が設定されている場合があり、全体の修理を行う方が適用されやすいこともあります。

いずれにしても全体で「60万円~」、部分修理で「14,000円前後」を目安としてください。

質問3:火災保険で屋根修理はできますか?

火災保険で屋根修理ができることもあります。しかし火災保険での住宅修理は、「劣化」「初期不良」などでは適用されません。あくまでも自然災害や火事による損害をカバーするものであるためです。

もし、ひょうによる損傷、台風による飛来物での損傷、雪の重みでの損傷であれば、火災保険で修理ができるでしょう。しかし保険の種類によって、そのほかの条件が求められることもあります。自然災害による屋根の破損・損害であり、保険商品の条件を満たしていれば、火災保険での修理も可能です。

【まとめ】屋根修理の助成金

いかがでしたでしょうか?本記事をお読みいただき、助成金を活用した屋根修理について理解を深めていただけたのではないでしょうか。条件を満たせば、屋根修理で適用できる助成金制度はたくさんあります。これから修理を検討されている方は、助成金を活用して効率的に修理を進めてください。

わたくしども屋根のエイトでは、東京・埼玉での屋根修理を承っております。助成金の利用をお考えの方の相談にも親身に対応しておりますので、無料見積もりや屋根診断についてのご相談をお待ちしております。

[1]参照:建築研究所:補助を受けるための要件

[2]参照:環境共創イニシアチブ:(PDF)令和6年度経済産業省による次世代省エネ建材の実証支援事業のご紹介

[3]参照:三菱電機オフィシャルサイト:(PDF)省エネ基準地域区分

監修者

  • 名前:山下 夏樹

    役職:施工管理部

    資格:福祉住環境コーディネーター3級 クレーン運転士 玉掛け フルハーネス特別教育

    経歴:

    高校卒業後、建設業の太陽光パネル設置・ゼネコンの雑工などを経て2013年に株式会社福原工業へ入社。
    主に積水ハウスリフォームの屋根工事を担当し、職長として多数の物件を施工し経験を積む。
    その後、2020年屋根のエイトに入社。
    大手で培った技術力を生かし、お客様に安心して長く暮らしていける屋根工事を提供できるよう心掛けている。