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屋根修理で助成金を適用するための条件と申請の手順・注意点について

屋根の修理を考えている方に向けて、屋根修理での助成金適用について解説します。

住宅の改修や屋根の修理は高額になる傾向があります。「助成金を利用できるのか」「どのように申請すれば良いのか」と悩む方も少なくありません。屋根修理でも助成金を受け取れる可能性があります。

本記事では、屋根修理で助成金を申請するための条件や申請手順、注意点について解説します。本記事を参考にすることで、助成金を活用し屋根修理の費用負担を大幅に軽減することができるでしょう。

屋根修理に適用可能な助成金の種類

屋根修理で助成金を使う場合、適用可能な助成金には主に2つの種類があります。これから屋根の修理をしたいと考えているなら、次の中から適用されるもの、利用しやすいものを選んでください。

では、屋根修理に適用可能な助成金の種類について解説します。

種類1:国の助成金制度

まず検討したいのは、国によって運営されている助成金制度です。日本での屋根修理に適用できる範囲の広さが魅力です。国の助成金制度で屋根修理を行う場合、次の制度を利用することを検討してください。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

住宅の長寿命化を目指したリフォームを行う場合、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を利用することが可能です。国土交通省により展開されている助成金制度です。対象となるのは耐震リフォームや断熱リフォームなど。しかし同時に屋根修理を行う場合、屋根修理の費用も助成される可能性があります。

補助を受けるには条件があり、まずは次の条件を満たさなければなりません。

【条件[1]】

  • 1階の床面積40平米以上、延床面積55平米以上であること
  • 地区計画、景観計画、まちまみなどの計画、建築協定、景観協定との調和がはかられること
  • 維持保全計画を定めること
  • 住宅性能基準、三世代同居対応改修工事、子育て世帯向け改修工事、防炎性・レジリエンス性向上改修工事に該当すること
  • 住宅性能に係る評価基準に適合していること
  • 工事着手前に現況検査を受けること

助成金制度が適用されるかどうかは、住宅の規模や工事の内容により判断されます。また住宅がある地域で地区計画がある場合は、計画に準じた改修であるかどうかも判断材料のひとつです。

条件を満たす住宅改修であり、同時に屋根修理を行う場合、助成金を利用することが可能です。住宅の長寿命化も検討されているなら、屋根修理と同時に行うのがおすすめです。

次世代省エネ建材の実証支援事業

「次世代省エネ建材の実証支援事業」は、省エネ改修に適用される助成金制度です。屋根はもちろん、壁や窓の改修にも適用されます。展開されているのは次の3つの区分です[2]。

区分補助率補助金上限額
外張り断熱(外断)補助対象経費の1/2以内1~4地域:400万円/戸 5~8地域:300万円/戸
内張り断熱(内断)補助対象経費の1/2以内戸建て:200万円/戸 集合:125万円/戸
窓断熱(窓断)補助体操経費の1/2以内150万円/戸 ※任意製品併用の改修なら200万円/戸

屋根修理で適用可能な補助金は、「外張り断熱(外断)」に限られます。利用するには外壁を外張り断熱にして、同時に屋根・天井のリフォームを行うこと。屋根修理だけでは利用できません。しかし家全体の快適性を高められ、かつ屋根修理でも助成金が利用できるようになるため実施する価値はあるでしょう。

補助上限額は地域により変わり、おおむね次のように分けられています。

【地域分類[3]】

  • 1~4地域:北海道・東北地方、北関東から長野県の山間部、その他地域の山間部
  • 5~8地域:上記以外の地域

市区町村単位で細かく分類されているため、該当する地域を調べてください。もし外壁改修と一緒に屋根修理をするなら、補助上限額も高くぜひ利用したい制度と言えます。

種類2:地方自治体の助成金制度

地方自治体ごとの助成金制度も利用できることがあります。国の助成金制度に該当しなくても、地方自治体の助成金が利用できるかもしれません。たとえば次のような制度が展開されています。

【地方自治体ごとの助成金制度一例】

  • 府中市:府中市木造住宅耐震改修など助成事業
  • 練馬区:カーボンニュートラル化設備設置等補助制度
  • 品川区:住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)
  • 横浜市:横浜市木造住宅耐震改修補助制度
  • 大阪市:民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度
  • 岡山市:移住者、二拠点居住者向け中古住宅リフォーム補助制度
  • 岡山市:木造住宅の耐震改修補助制度
  • 北九州市:北九州市木造住宅省エネ改修工事補助事業

ご紹介した地方自治体以外でも、屋根修理に助成金が使えることはあるはずです。すべての紹介はできませんので、お住いの自治体に問い合わせてみてください。

屋根修理での助成金の適用条件

屋根修理に利用できる助成金制度にはさまざまなものがあります。ただし、いずれの制度にも適用条件が設定されており、条件を満たさなければなりません。

そこで、屋根修理で助成金が適用される基本的な条件について解説します。主に次の3つであることがほとんどです。

省エネ性能向上を目的とした工事

まずは住宅の省エネ性能向上を目的とした工事であることです。国は省エネに力を入れており、住宅で使用するエネルギーを削減するための改修に対して積極的に助成を行っています。

屋根修理とともに省エネ性能向上をはかるなら、次のような改修が考えられるでしょう。

【省エネ改修工事の一例】

  • 太陽光発電パネルを屋根に設置する
  • 天窓を設置する
  • 屋根の断熱性・遮熱性向上のための工事をする
  • LED照明を設置する
  • 屋根のアスベスト除去工事を行う
  • 断熱性の高い塗料を用いる

断熱性を高める工事を行えば、住宅全体の快適さも増します。屋根修理で助成金を活用する場合は、省エネ性能向上のための工事を同時に行うことを検討してください。

耐震性向上を目的とした工事

耐震性向上を目的とした工事であることも適用条件のひとつとなります。築年数が経過している住宅では、旧耐震基準で建てられていることもあるでしょう。そのため新耐震基準に沿った改修は、助成金が適用されやすい条件です。

詳しい適用条件は制度ごとに異なります。新耐震基準が施行された1981年6月1日以前に建てられた2階建て住宅の場合、適用される可能性が高いと考えられます。

各助成金ごとの具体的な条件

屋根修理で助成金を受け取るには、各制度ごとの具体的な条件を満たす必要があります。地方自治体が展開している制度であれば、それぞれそのほかの具体的な条件が設定されていることもあるためです。

一例として具体例をご紹介します。

【岡山市:移住者・二拠点居住者向け中古住宅リフォーム補助制度】

●移住される方、二拠点居住される方 共通

  • 岡山市への転入の理由が、転勤、進学以外の方
  • 岡山市税を滞納していない方
  • 暴力団等の関係者ではない方

●移住される方

  • 令和4年4月1日以降に岡山市に転入された方
  • 転入の直前に、岡山県外に1年以上住民票があった方
  • 実施報告日以降、2年以上補助物件に住む予定がある方

●二拠点居住をされる方

  • 令和4年4月1日以降に岡山市で二拠点居住をされる方(あらかじめ届出が必要です)
  • 二拠点居住を始める直前に、岡山県外に1年以上住民票がある方
  • 岡山市内での拠点で本人名義で水道を常時利用される方
  • 実施報告日以降、2年以上補助物件で二拠点居住をされる予定がある方

出典:岡山市:【補助金】令和6年度の受付を終了しました。(移住者・二拠点居住者向け中古住宅購入・リフォーム補助)

【横浜市:横浜市木造住宅耐震改修補助制度】

<対象となる住宅>
昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工された2階建以下の在来軸組構法の木造個人住宅(自己所有で、自ら居住しているもの)
上記の住宅で、耐震診断の結果、点数(上部構造評点等)が1.0未満と判定された住宅
(中略)
<対象となる工事>
基礎の補強、筋かい(耐力壁)の補強、軽量化のための屋根のふき替え等により、耐震診断による点数が1.0以上となる耐震改修工事
建替え工事は対象となりません。

出典:横浜市:制度概要

以上のように、制度ごとに条件が定められています。

省エネ性能や耐震性能を高める工事では適用されやすい傾向があるでしょう。しかし、そのほかの条件が設定されていることもあるため、利用したい助成制度の条件確認は欠かせません。

屋根修理での助成金申請の手順

それでは、実際に屋根修理で助成金を申請するときのために、申請手順を見ていきましょう。

申請前の確認事項

申請前に確認すべきことは、助成金が適用されるための工事条件です。先に解説をしたように、条件を満たさない工事であれば助成金は受け取れないでしょう。ただし、工事の内容が適切であっても助成金を受け取れない場合があるため、次のポイントを確認することが重要です。

【申請前に確認したい事項】

  • 助成金適用のための工事の条件
  • 申請条件をクリアできる業者
  • 申請できる時期

まず、確認したいのは工事の内容が条件を満たすかどうかです。助成金制度適用の条件は制度や自治体により変わります。条件を満たさずに申請すると却下され、助成金を受け取れないまま屋根修理を行うことになります。そのため申請前には確実に条件を満たせる工事であることを確認してください。

また、工事内容の条件を満たしていた場合でも、時期によって適用されないこともあります。たとえば予算の上限に達したとき、募集が行われていないときなどです。依頼する業者が条件となっていることもあります。地方自治体によって指定された業者に依頼することを忘れないようにしてください。必要に応じて役所に問い合わせ、適用条件を確認してください。

申請の流れ

屋根修理で助成金を受けるためには、次のように申請を行います。

【申請の流れ】

  1. 申請書を入手する
  2. 申請条件をクリアした業者を探す
  3. 相談をして業者を選ぶ
  4. 見積書を入手したら自治体に申請書を提出する
  5. 業者と工事契約を交わす
  6. 契約書をコピーして自治体に提出する
  7. 工事を行う
  8. 業者から工事完了報告書を受け取る
  9. 自治体に工事完了届を提出する
  10. 自治体の調査員による調査を受ける
  11. 約3週間後に補助金が振り込まれる

助成金を受け取るための基本的な流れは、業者に相談をして、自治体に必要な書類を提出するようになります。自治体の申請条件をクリアしている業者であれば、申請の手続きもサポートしてくれるでしょう。申請書の入手は、業者を選定した後でも問題ありません。

自治体に対して必要となるのは、申請書と契約書のコピー、工事完了届の提出だけです。あとは調査員による調査を受けることもあります。流れが複雑に感じられる場合でも、業者からのサポートを受けることで円滑に進められます。

必要書類と注意点

最後に、必要書類と注意点について解説します。

必要書類

助成金を受け取るには、次のような必要書類を準備してください。

【必要書類】

  • 申請書
  • リフォーム計画図
  • 見積書
  • 工事前の現況写真

助成金の申請に必要不可欠であるのが「申請書」です。各自治体の公式サイトからダウンロードしてコピーできるでしょう。必要に応じて役所に問い合わせ、申請書を受け取ることができます。業者の方に申請書の入手について相談する方法もあります。見積書も業者から受け取ったもののコピーを提出すれば問題ありません。

注意したいのはリフォーム計画図と工事前の現況写真です。リフォームでは現況図をもとにして、リフォーム計画図が作成されます。また助成金申請のときに、平面図・立体図・見取り図が必要となることもあるでしょう。工事前には現況写真を撮影しておく必要があります。

注意点

助成金を申請するには、次のような注意点を意識しながら申請を行いましょう。

【注意点】

  • 工事着工前に自治体への申請を行うこと
  • すべての工事をひとつの業者に依頼すること
  • ほかの助成金・補助金制度と併用できない可能性があること

屋根修理で助成金を受けるなら、必ず工事着工前に自治体への申請を行うようにしてください。多くの場合、着工後の申請は受理されません。

また複数の業者を利用すると、ひとつの工事とはみなされなくなってしまいます。工事費用を合算して申請することで、受け取れる助成金の額が増える可能性があります。工事を依頼するなら、予定している工事をすべて請け負える業者を選ぶことにも注意が必要でしょう。

最後に、特定の助成金制度を利用すると、ほかの助成金制度・補助金制度は併用できなくなることを知っておいてください。そのため最も受け取れる金額が多い制度に対して申請をするべきです。本記事で解説した必要書類と注意事項を参考にすることで、助成金の申請をスムーズに進めることができます。

屋根修理に助成金を活用する際の注意点

助成金を活用することで、屋根修理の費用を大幅に抑えることができ、大変役立つと考えられます。しかし助成金を利用する際には注意しなければならないことがあるのも事実。

利用する際には「申請期限」「予算枠」「詐欺」に注意してください。

申請期限や予算枠の確認

申請前に必ず確認しておきたいのが「申請期限」と「予算枠」です。助成金は国や地方自治体の予算から捻出されるもので、予算内で展開されています。そのため予算枠が上限に達してしまっていたり、期限が決められていたりすることも珍しくありません。

申請しようとしたときに、もう締め切られてしまっている可能性もあります。あらかじめ申請期限と予算枠を確認して、まだ猶予があるか確認しておくことは非常に大切です。

補助金を利用した詐欺に注意する

補助金を利用した詐欺に注意することも大切なポイントのひとつです。最近では「補助金・助成金を使えば無料でリフォームできる」と、住宅のリフォームや修理をさせようとする業者もいます。また業者が補助金を不正受給するケースも。

業者の言葉を鵜呑みにしてしまうのは危険です。必ずご自身でどのような制度であるか、本当に金銭的負担が減るのか確認してください。確認したうえで契約を結ばなければ、高額な工事費用を請求される恐れもあります。

屋根修理の補助金についてよくある質問

屋根修理で助成金を利用する方法について、さまざまな観点から解説してきました。しかし「○○の場合はどうなるのか」と、まだ疑問を抱いている方がいるかもしれません。

そこで屋根修理で補助金を利用する際に、みなさまがよくいだく質問についてお答えします。疑問点が残っている方は、次のよくある質問への回答も参考にしてください。

質問1:スレート屋根にも補助金は利用できますか?

スレート屋根でも補助金を利用できる可能性があります。たとえば「長期住宅優良化事業」は、スレート屋根も対象です。また耐震性を高めるための工事でも、スレート屋根が対象とされることが少なくありません。スレート屋根をガルバリウム鋼板に変更することで屋根の重量が軽減され、結果として住宅の耐震性が向上する可能性があります。

スレート屋根の修理を検討している方は、適用可能な助成金制度を調べてみてください。

質問2:屋根の修理費用はいくらが相場ですか?

屋根修理の費用相場は60万円以上です。部分的な修理であれば約14,000円で実施可能です。

部分的な修理は費用を抑えることができます。しかし、助成金を利用する場合は工事の下限額が設定されている場合があり、全体の修理を行う方が適用されやすいこともあります。

いずれにしても全体で「60万円~」、部分修理で「14,000円前後」を目安としてください。

質問3:火災保険で屋根修理はできますか?

火災保険で屋根修理ができることもあります。しかし火災保険での住宅修理は、「劣化」「初期不良」などでは適用されません。あくまでも自然災害や火事による損害をカバーするものであるためです。

もし、ひょうによる損傷、台風による飛来物での損傷、雪の重みでの損傷であれば、火災保険で修理ができるでしょう。しかし保険の種類によって、そのほかの条件が求められることもあります。自然災害による屋根の破損・損害であり、保険商品の条件を満たしていれば、火災保険での修理も可能です。

【まとめ】屋根修理の助成金

いかがでしたでしょうか?本記事をお読みいただき、助成金を活用した屋根修理について理解を深めていただけたのではないでしょうか。条件を満たせば、屋根修理で適用できる助成金制度はたくさんあります。これから修理を検討されている方は、助成金を活用して効率的に修理を進めてください。

わたくしども屋根のエイトでは、東京・埼玉での屋根修理を承っております。助成金の利用をお考えの方の相談にも親身に対応しておりますので、無料見積もりや屋根診断についてのご相談をお待ちしております。

[1]参照:建築研究所:補助を受けるための要件

[2]参照:環境共創イニシアチブ:(PDF)令和6年度経済産業省による次世代省エネ建材の実証支援事業のご紹介

[3]参照:三菱電機オフィシャルサイト:(PDF)省エネ基準地域区分