お住まいを見上げたとき、屋根の側面、切妻屋根の「△」の部分についている板に、このような劣化のサインを見つけたことはありませんか?この板は「破風板(はふいた)」と呼ばれ、普段あまり意識されることのない部材ですが、実は、あなたの大切な住まいを風雨や火災から守る、非常に重要な役割を担っています。
この破風板の劣化を「小さなことだから」と放置してしまうと、やがて雨漏りを引き起こし、屋根や壁の内部構造を腐らせるなど、大規模な修繕が必要な深刻な事態に発展しかねません。
この記事では、屋根修理の専門家として、見落とされがちな「破風板」に焦点を当て、その役割から具体的な修理方法、そして気になる交換費用まで、皆様が抱える疑問に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
劣化のサインを見逃さず、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが、結果的に家の寿命を延ばし、将来的な修繕コストを抑えることに繋がります。この記事を読んで、破風板の重要性とその正しい対処法をぜひ知ってください。
破風板の役割とは?
普段あまり聞き慣れない部材名なので、「どんな役割があるの?」と疑問に思われる方も多いかもしれません。
破風板は、屋根を取り付ける際に外壁との境目にできる“すき間”をしっかり塞ぐための重要な部材です。
この破風板があることで、台風や豪雨といった強い風雨が建物内部に吹き込みにくい構造になり、住まいを守る働きをしてくれます。
外からは見えにくい部分ですが、建物の耐久性に大きく関わる、なくてはならないパーツなんですね。
破風の劣化症状
ここからは、破風板に見られる代表的な劣化症状について、ひとつずつ分かりやすく解説していきます。
塗膜の剥がれ・色褪せ
破風板は、経年劣化に加えて紫外線や雨風の影響を強く受けるため、塗膜の剥がれや色褪せが起こりやすい部材です。
塗膜が剥がれてしまうと下地がむき出しになり、建材の腐食や割れの原因となってしまいます。
こうした劣化症状が見られる場合は、早めの塗り替えがおすすめです。
定期的に塗装を行うことで破風板を保護でき、結果的に長持ちさせることにつながります。
木部の腐食・割れ
木材の破風板は、長期間にわたり雨水や湿気にさらされることで腐食が進行しやすいという特徴があります。腐食が進むと、割れや破損へと発展する可能性があり、さらに割れた部分から雨水が侵入すると、内部構造にまで劣化が広がってしまうため注意が必要です。
また、腐食が進むと木材が柔らかくなり強度が低下するため、見た目が悪くなるだけでなく、建物としての安全性にも影響を及ぼす恐れがあります。
金属部材のサビ
アルミやガルバリウム鋼板などの金属製の破風板では、特に錆の発生に注意が必要です。
一度錆が出てしまうと、そのまま放置した場合 腐食の拡大や穴あき といった深刻なトラブルにつながる恐れがあります。
そのため、錆が見られる場合は、早めに錆の除去や再塗装を行うことが重要です。
適切なメンテナンスを行うことで、金属破風の耐久性を長く保つことができます。
破風板の破損
塗膜の劣化や錆が進行すると、最終的には破風板そのものが破損・腐食してしまいます。
破風板が十分に機能しなくなると、屋根や外壁に雨水が回り込み、建物全体の劣化や雨漏りにつながる危険性も高まります。
そのため、破風板に破損や腐食が見られる場合は、放置せず早めに修理を行うことが重要です。
破風板の破損をそのまま放置するとどうなるのか
破風板が劣化したまま放置してしまうと、次のようなトラブルにつながる可能性があります。
- 破風板が剥がれて落下したり、強風で飛ばされてしまう
- 屋根裏へ雨水やほこりが侵入し、建物内部の劣化を早めてしまう
- 野生動物が入り込み、巣を作ってしまう
このように、見た目だけの問題ではなく、放置するほど雨漏りのリスクも高まり、建物全体へのダメージが大きくなっていきます。
破風板の劣化を見つけた場合は、できるだけ早めに修理を行うことで、結果的に費用を抑えることにもつながります。
破風板に使われる材料・素材
「そもそも破風板はどんな素材で作られているの?」
そう疑問に思われる方も多いかもしれません。
ここからは、破風板に使用される主な素材と、それぞれの特徴について分かりやすく解説していきます。
木材系
破風板の材料として、最もスタンダードなのが木材です。
加工しやすく仕入れもしやすいことから、昔から広く採用されてきました。現在では使用頻度は減ってきたものの、戸建住宅を中心に木製破風板が使われている建物は今でも多く見られます。
ただし木材である以上、定期的なメンテナンスが欠かせない点が大きな特徴です。劣化スピードも比較的早く、こまめな点検・塗装が必要になります。
メリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
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金属系(ガルバリウム鋼板)
近年増えているのが、金属系素材の破風板です。なかでも代表的なのがガルバリウム鋼板で、加工性の高さに加えて、優れた耐久性能を持つことから多くの住宅で採用されています。
木材に比べると耐候性・耐火性に優れ、長期的に見ても劣化しにくい点が大きなメリットです。
一方で、コストは木材よりも高めで、また金属の質感によって外観の印象が大きく変わるため、リフォームの際は建物との相性を踏まえて選ぶ必要があります。
メリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
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窯業系
窯業系破風板は、セメントと繊維質を混ぜ合わせて作られた素材で、高い防火性能と耐久性を持つのが特徴です。外壁材にも使われるほど意匠性が高く、デザインの幅が広い点も魅力といえます。
ただし、素材の性質上、水分を吸いやすいため、定期的な塗装などのメンテナンスが欠かせません。適切にケアを行うことで長持ちさせることができます。
メリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
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その他の材質
破風板には、木材・金属・窯業系以外にもプラスチック(樹脂系)やモルタルが使用される場合があります。
プラスチック製の破風板は、軽量で扱いやすく、耐久性に優れているのが特徴です。しかし、熱に弱い性質があるため、直射日光が当たる場所では変形してしまう恐れがある点には注意が必要です。
一方でモルタル製の破風板は、外壁がモルタル仕上げの住宅でよく使われていました。しかし、近年はモルタル外壁そのものが少なくなってきたこともあり、モルタルの破風板も使用頻度が減りつつあります。
破風板の修理方法
破風板の劣化状況によって、修理方法は大きく3つに分けられます。
それぞれの特徴と、どのような状態のときに選ぶべきかを解説します。
破風板の交換工事
既存の劣化した破風板を完全に撤去し、新しい破風板に取り替える工事です。劣化が内部まで進行し、腐食や変形が見られる場合に選択される、最も根本的な解決方法です。
新しい破風板の素材には、伝統的な木材のほか、現在では耐久性・耐火性に優れた窯業系(ようぎょうけい)サイディング製のものが主流となっています。
下地の状態までしっかりと確認し、必要であれば補修も行えるため、最も安心感の高い工法といえます。
破風板の再塗装
破風板の素材自体には大きなダメージがなく、表面の塗膜(塗装)だけが劣化している場合に行われるメンテナンス方法です。
高圧洗浄で汚れを落とし、ケレン作業で古い塗膜を除去した上で、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りを行うのが基本です。
美観を回復させるとともに、塗装によって防水機能を復活させ、破風板自体の寿命を延ばすことができます。
外壁塗装や屋根塗装と同時に行うのが最も効率的です。
破風板金
「カバー工法」とも呼ばれ、既存の破風板の上から、ガルバリウム鋼板などの薄い金属板を被せて覆う工法です。
既存の破風板を撤去する必要がないため、廃材処分費がかからず、工期も比較的短く済みます。
ガルバリウム鋼板は錆びにくく、耐久性が非常に高いため、一度施工すれば長期にわたってメンテナンスフリーに近い状態を保つことができます。
ただし、内部の腐食が深刻な場合には適用できず、交換工事よりも費用は高くなる傾向があります。
破風板修理の費用相場
破風板の修理費用は、選択する工法と施工する長さ(m)によって決まります。
また、忘れてはならないのが、高所作業であるため必ず足場の設置が必要になるという点です。
以下の費用相場は、足場代を含まない、破風板の工事のみの金額となります。
| 修理方法 | 費用相場(1メートルあたり) |
|---|---|
| 再塗装 | 1,500円~3,000円 |
| 板金カバー工法 | 4,000円~7,000円 |
| 交換工事 | 5,000円~9,000円 |
【一般的な住宅での費用目安(足場代別途)】
一般的な2階建て住宅(切妻屋根)の場合、破風板の長さは合計で20m~30m程度になります。
- 再塗装の場合: 3万円~9万円
- 板金カバー工法の場合: 8万円~21万円
- 交換工事の場合: 10万円~27万円
交換工事の費用が他の工法より高くなるのは、既存の破風板を撤去する手間(解体費)と、その廃材を処分する費用が別途かかるためです。
また、下地の木材(破風下地)まで腐食していた場合は、その補修費用も追加で必要になります。
しかし、劣化が内部まで進行しているにも関わらず、費用を抑えようとして表面的な塗装やカバー工法で済ませてしまうと、内部で腐食が進行し続け、数年後にさらに大規模な工事が必要になる可能性があります。
根本的な解決を図り、長期的な安心を得るためには、状態に応じた適切な工事を選択することが最も重要です。
関連記事:屋根修理の費用相場|修理内容別の相場と費用に影響を与える要素
破風板の劣化が及ぼす危険性
「たかが板一枚」と、破風板の劣化を軽視してはいけません。
放置することで、お住まい全体を脅かす深刻な危険性へと繋がっていきます。
雨漏り
破風板は、屋根の内部(野地板や垂木といった構造部分)を風雨から守る役割を担っています。破風板の塗装が剥がれ、腐食して隙間ができると、そこから横殴りの雨などが吹き込み、屋根の内部へと侵入していきます。
これが、屋根の軒先からの雨漏りの直接的な原因となります。
一度雨漏りが発生すると、天井のシミやカビだけでなく、建物の構造自体を弱らせてしまいます。
破風板の落下
木製の破風板は、腐食が進行すると強度が著しく低下します。ボロボロになった破風板は、強風や地震の揺れによって、ある日突然、剥がれ落ちてくる危険性があります。
もし落下した破風板が通行人や隣家の所有物(車など)に当たってしまった場合、重大な人身事故や物損事故に繋がり、多額の損害賠償を請求される事態にもなりかねません。
屋根材や外壁材の腐食
破風板の隙間から侵入した雨水は、屋根の内部だけでなく、外壁を伝って壁の内部にも染み込んでいきます。
壁の内部には断熱材や柱があり、これらが湿気を含むことでカビが発生したり、腐食したりします。
断熱性能の低下や、シロアリ発生の原因ともなり、お住まいの資産価値を大きく損なうことになります。
破風板は、屋根と壁の境界を守る、重要な防水ラインなのです。
関連記事:屋根にカビが生える原因と対処法を徹底解説
破風板が劣化する原因
破風板は、なぜ劣化してしまうのでしょうか。
その主な原因は、屋根の先端という非常に過酷な環境に置かれていることにあります。
日光
破風板は、屋根の中でも特に太陽光(紫外線)を直接浴びやすい場所です。紫外線は、塗料の成分を分解し、色褪せやチョーキング(白い粉が吹く現象)を引き起こします。
この塗膜の劣化が、破風板の防水機能を低下させる最初のステップとなります。
紫外線や熱による塗装の劣化
破風板は、建物の中でも特に紫外線を受けやすい位置に取り付けられています。そのため、経年とともに塗膜が割れたり剥がれたりしやすく、劣化が進行しやすい部材です。
塗装が剥がれてしまうと、塗膜による保護機能が失われ、建材そのものがむき出しの状態に。その結果、雨水や湿気、紫外線の影響を直接受けることになり、さらに劣化が加速してしまいます。
風雨による腐食
破風板は、屋根の中でも特に太陽光(紫外線)を直接浴びやすい場所です。紫外線は、塗料の成分を分解し、色褪せやチョーキング(白い粉が吹く現象)を引き起こします。
この塗膜の劣化が、破風板の防水機能を低下させる最初のステップとなります。
積雪
雪の多い地域では、屋根に積もった雪が破風板に常に接触している状態になります。雪解け水が長時間滞留することで、破風板は常に湿った状態に置かれ、腐食の進行が著しく早まる原因となります。
また、雪の重みによって物理的なダメージを受けることもあります。
破風板の修理を依頼する業者の選び方
破風板の修理は、どこに依頼すれば良いのでしょうか。失敗しない業者選びのポイントは、「塗装工事にも対応できる屋根修理業者」に依頼することです。
破風板は屋根の一部であり、その状態を正確に診断し、適切な修理方法(交換、カバー、塗装)を判断するには、屋根に関する専門知識が不可欠です。
また、修理には塗装が伴うことがほとんどであり、足場の設置も必要になります。
お住まい全体のことを考え、ワンストップで最適なメンテナンスを提案してくれる、信頼できる屋根修理業者を選ぶことが重要です。
関連記事:屋根修理詐欺の代表的な手口、勧誘トークと信頼できる業者の選び方
破風板のメンテナンスサインを見逃さないようにしよう
見落としがちながらも非常に重要な「破風板」の修理方法と交換費用について、詳しく解説しました。
破風板の小さな劣化は、お住まい全体が発しているメンテナンスのサインです。
そのサインを見逃さずに、早めに対処することが、結果的に大きな修理費用を防ぎ、家の寿命を延ばすことに繋がります。
「うちの破風板、そろそろ危ないかもしれない…」 「屋根全体の点検も兼ねて、一度プロに見てほしい」
もし、少しでもご自宅の破風板に不安を感じたら、ぜひ屋根のエイトにご相談ください。
私たちは、屋根修理と塗装工事の両方に精通した専門家集団です。
最新のドローンなども活用し、お客様自身では確認できない破風板や屋根の状態を、隅々まで正確に診断いたします。
そして、交換、塗装、カバー工法の中から、お客様のお住まいの状態とご予算に合わせた、最適な修理プランを誠実にご提案します。
破風板のメンテナンスは鼻隠し・軒天・広小舞とセット
破風板の劣化が進んでいる場合は、鼻隠し・軒天・広小舞といった周辺の部材も同時に傷んでいるケースが少なくありません。
そのため、見積りを確認する際には、これらの部材の点検や必要なメンテナンスが含まれているかもしっかりチェックしておきましょう。
また、これらを別々のタイミングで工事すると、その都度足場代が発生してしまいます。可能であれば一度の工事でまとめてメンテナンスを行うことで、余計な費用を抑えることができます。
破風板と「鼻隠し」の違いは?
鼻隠しは、屋根の軒先部分に取り付けられる横方向の板材で、雨樋(あまどい)を支える金具を固定する役割を持っています。
破風板が屋根の勾配に沿って斜めに取り付けられるのに対し、鼻隠しは地面と水平になるように設置される点が大きな違いです。
破風板と「広小舞」の違いは?
広小舞は、軒先にある野地板の先端を構成する下地材で、鼻隠しよりも約2cmほど前に突き出して外部に露出しているのが特徴です。
この部分は雨風や紫外線を直接受けやすいため、腐食が進みやすい部材でもあります。
そのため、破風板の塗装や板金巻きなどのメンテナンスを行う際には、広小舞の補修や保護処理も一緒に実施することをおすすめします。まとめて施工することで、耐久性が高まり、後々のトラブル防止にもつながります。
破風板の修理・交換で知っておきたい制度や費用を安くするコツ
「破風板を修理・交換したいけれど、費用がどのくらいかかるのか気になる…」
そんな方のために、ここからは活用できる制度やコストを抑えるためのポイントについて、分かりやすくご紹介していきます。
破風板修理の際は相見積もりを取る
リフォーム工事には「相場」はありますが、明確な定価は存在しません。
つまり、同じ工事内容であっても、業者によって費用に大きな差が出ることは珍しくありません。
そのため、誰でも簡単にできて修理費用を安く抑えるのに最も効果的な方法が、相見積もりを取ることです。
「念のため、もう一社だけ見積もりをお願いしてみよう」
これだけで、5万円・10万円の差が出ることもよくあります。
まだ一社しか見積もりを取っていない方は、ぜひ相見積もりを活用してみてください。
より納得できる価格で工事を進められるはずです。
板の修理には火災保険が利用できる可能性がある
破風板の修理では、火災保険が適用される可能性があります。
火災保険は、建物が自然災害などの突発的な被害を受けた際、その修理費用を補償してくれる制度です。
そのため、破風板が 台風・強風・竜巻・雹(ひょう) といった気象災害によって破損した場合は、火災保険の申請を検討してみましょう。
「破損した瞬間を見ていないから、本当に台風被害なのか分からない…」
という場合でも、申請すること自体にリスクはありません。
状況に該当する可能性があるのであれば、まずは一度申請手続きを行ってみることをおすすめします。
破風板修理には補助金や助成金が利用できるかも
お住まいの地域や自治体によっては、破風板の修理に補助金や助成金が利用できる場合があります。
全額補助ではありませんが、工事費用の10〜20%程度が支給されるケースも多く、活用できれば大きな節約につながります。
代表的な制度としては、以下のようなものがあります。
- リフォーム補助・助成事業
主に市区町村で実施されている制度で、対象地域で行うリフォーム工事の一部が補助されます。
破風板の修理だけでなく、屋根のカバー工法・葺き替え・屋根塗装など幅広く対象となる場合があります。
補助額は工事費の10〜20%が目安です。 - 耐震改修リフォーム工事補助事業
耐震改修と合わせて外装リフォームを行う場合に利用できる補助金で、屋根工事全般が対象となる場合があります。
制度内容は自治体によって大きく異なりますので、
すべての方が利用できるわけではありませんが、該当すれば非常にお得です。
興味がある方は、まず現在お住まいの自治体がどのような制度を実施しているか確認してみましょう。
▼地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイトはこちら
https://www.j-reform.com/reform-support/
